外傷による歯冠破折の修復

転倒して顔面を打ちつけ、前歯を欠いてしまうことがあります。
破折した大きさや、どの部分が欠けたかによって治療法が異なります。

1. 歯冠部の縁が僅か欠けた場合

左図の矢印の示す部分が少し欠けています。
接着性プラスチックを貼り付けて修復したのが右図です。
但し、剥がれ易いので脱落した時は再接着が必要になります。


2. 歯冠部が少し欠けた場合、若年者
8才の時に転んで欠いてしまいました。
しかし、神経は露出していません。
歯根の破折もありません。
同様に接着性プラスチックで修復しました




3年後の経過の比較です。
左図の上は8才の時のX線像。右図の上は11才時のX線像。
左図の下は8才時のX線像のトレース。右図の下は11才時のX線像のトレース。
歯が生えて間もない頃は歯根が完成されていないので、根端の神経の管は太く見えます。
また左下の図からも分るように神経(オレンジ色の部分)は太くなっています。
成長につれ歯根が根の先まで完成され、神経も根端で右下のように細くなります。
ここで問題は根端が未完成の時に神経が死んでしまうと、根の先が出来ず神経も開いたままで太く、神経の治療は極めて難しいものになります。
神経が死んでしまった時は止むをえませんが、出来る限り残す方が好ましいでしょう。

3. 歯冠部の角が大きく欠けた場合

上図の程度では、神経の治療をせずに済む事があります。

部分的に欠けた時は接着性のプラスチックで補修します。
但し、角が欠けると接着性とは云え、容易に剥がれます。
そこで、上図のような小さなネジを象牙質の中にねじ込む。
縦と横方向に抵抗するように2本、立てる。
しかも、神経を避けて穴をあけなければなりません。
かなり、気を使います。


プラスチックを盛り上げ、形を整え光を当てて硬化させる。
上図は、研磨して仕上げたところです。
最初は殆ど分りませんが、永久的な材質でないので術後の検査が必要。
脱離、変色、辺縁の剥がれなどないか定期的に調べてもらう事。
場合によっては、再治療が必要になります。
また、外傷時の衝撃が影響して、後に神経が壊死することもあるので経過を観察する必要があります。


4. 欠けた「かけら」が手元にある
運よく、かけらがあると付く場合があります。希なケースです。

左上の前歯が破折しましたが、患者さんが大事そうに欠けたかけらを持ってきました。折角なので接着を試みることにしました。かけらの縁が線状に一部不足していました。上右図。

かけらを接着し、不足部分をプラスチックで埋め、歯冠部を修復しました。上左図。
4年後、破折片はきっちり付いていますが、接着部の色が少し変色しています。上右図。

かけらの接着後8年で、新たに歯質が欠けたため脱落してしまいました。上左図。最初の破折した状態と比べてみて下さい。二段上左図。
残念ながら再接着は無理なので、削合して陶器焼付冠を装着しました。上右図。
神経は、健全です。
余談ながら、ご自分で工作用のアラルダイトなどの接着剤で付けようとしないで下さい。
口の中は常に濡れているし、ガンガン噛むのですぐにとれてしまいます。
破折面に他の物質がこびりつくと、歯科でも付き難くなります。


歯科へ戻る
ホームへ戻る